PDAユーザーの憂うつ(日経IT Pro)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061026/251904/
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 2000年頃は華やかだったPDA市場が今では見る影もないことを憂いているコラム。
 記事にもある通り現在はW-ZERO3BlackBerryといったスマートフォンが注目を浴びているが・・・それでも実際に使っているのは物好きだけであろう。
 
 まさにわし自身がそれだ。2000年に初代CLIEを購入して当初は使い倒したものの徐々に使わなくなり、今年になってW-ZERO3[es]を購入してゆるゆる使っている状態だ。そしてこれはハッキリ言えるのだが、W-ZERO3[es]なんて10人中9人まで知らんぞ。購入してから現在に至るまで「それ、何ですか?」と何人から聞かれたことか。そもそもウィルコム自体知らない人が多いのだが、それはまた別の問題か。しかし世間ではこれだけナンバーポータビリティの話題で持ちきりだというのに、PHSは蚊帳の外で寂しい限りだ。
 
 で、なぜ日本でPDAが流行らないのかを考えてみたい。
 まずは、誰でも予想が付くだろうがほとんどの人は携帯電話だけで十分なのだ。というよりも、日本では最新技術を注ぎ込む最優先が携帯電話になっている。
 ちなみにこの6月に初めてアメリカ(シアトルとサンフランシスコ)に行って驚いたのは、日本ではそこかしこで見かける風景「携帯電話を覗き込んでいる人」を全く見なかったことだ。逆に日本ではほとんど見かけない「スマートフォンを使う人」や、「3kg以上はあろうかというノートPCを使う人」はやたら見かけた。
 日本でも携帯電話では機能不足だという人は相当数いる。しかしそういう人はPDAではなく1kg程度のサブノートPCを使う。ちなみにこの「1kg程度のサブノートPC」もアメリカでは全く流行らないようだが。
 
 要するに、高機能化する一方の携帯電話とモバイル用途に特化したパソコンの合間にPDAが存在する場所が無いというのが実情であろう。しかし、PDAには他の機器にはない「非常に便利な特長」がある。その特長を有効活用できれば存在価値も上がるのだが、いかんせん最近はその特長が非常に使いづらい世の中になってきている。
 その特長とは勿論「同期(sync)」である。スケジュールやメール、住所録にメモなどをボタン1つで簡単に他のPCなどと同期させることが出来るのがPDAの醍醐味なのだが、個人情報保護法の施行などコンピュータで扱う情報に対するセキュリティ意識が高まるにつれ、USBメモリやCD-Rなどの記録メディアの取扱が厳しくなってきている。ましてや個人情報のカタマリであるPDAとの同期など言わずもがなである。
 携帯電話やモバイルPCにも同様のリスクは勿論あるが、PCとの同期を前提とするPDAと違い単独で利用するイメージがあるのでまだ救われているのであろう。いや、既にどちらもビジネスツールとして定着してしまったので今更引っ込める訳にも行かないのであろう。ビジネスで必要なモノならセキュリティを高める方向に注力すれば良いのだから。