ニコンD90とブルーレイレコーダー

 1ヶ月前、実家で親父とカメラの話をしていた。
 親父もカメラやビデオ・オーディオ機器が好きでわしは完全にその趣味を受け継いでいる。
 
  わし「もうじき出るニコンD90を買おうと思てるねん。うちのD70も二世代前になるし。」
  親父「それはそんなに違うもんなんか?今のやつで十分やろ。」
  わし「いや、だいぶ良くなってるで。暗い場所でのノイズも少ないし、動画も撮れるし・・・。」
 
 すると親父は厳しい口調で、こう言った。
 
  「これから子供に金かかるのに、そんな数年ごとにカメラ買い換えてる場合ちゃうやろ。」
 
 ちなみに親父はカメラやビデオ機器などを数年ごとに買い替えている。
 確かに、買い替えサイクルが早まったのはわしと弟がある程度大きくなってからだったが。
 
 そして続けてこう言った。
 
  「そんな続けてカメラ買うくらいやったら、まずブルーレイレコーダー買うたらどうや?で、しばらく使わへんねやったら実家に置いといて使わしてくれへんか?」
 
 なんじゃそりゃ。
 
  「DIGAの旧モデルが、近所のミドリ電化で\98,000やったけどビックカメラなら\89,800やったんでええと思うけどな。そこからポイントも付くし・・・。」
 
 ちなみに父は72歳だ。そして、去年ブルーレイではないがHDDにハイビジョン録画できるDIGAを買ったばかりだ。
 
  「去年買うたばかりですぐ新しいの買うたら、お母さんに怒られるからな。自分が買うたやつをちょっと借りてるゆうことにしといたらええやろ。お金は出しても構へんで。」
 
 ・・・いや、まぁ確かに最近はわしも子供の成長記録をハイビジョンで撮り溜めているのでそろそろブルーレイレコーダーを買いたいとは思てたけども。
 
 わしはこう答えた。
 
  「おとんが去年買うたDVDレコーダー、HDDが500GBもあるねんから当分ここに録画出来るで。このHDDを使い切りそうになった時点でブルーレイレコーダー買うたらええがな。ハイビジョンのままムーブもできるから問題ないで。それに、おとんが言うてるブルーレイの方がHDDの容量かて少ないし中途半端やで。」
 
 親父は「そうか・・・それならあと1年くらい待って次のモデルにした方がええかな。」と納得した。
 
 
 結局、これが親父とのしょうむない会話の最後になった。
 親父はこの翌々日に入院。それから会うたびに弱ってゆき、20日後に亡くなった。
 
 ブルーレイレコーダーを使わしてあげられへんかったのは心残りだが、中途半端な買い替えになってまうという点は親父も納得してくれてたし。