尖閣ビデオ問題、投稿した海保職員は罪に問われない

 11/10のニュースアンカー『青山のニュースDEスバリ』から。
 海保職員が罪に問われない理由、今回のビデオがそもそも機密にあたるのかどうか、そして本当に裁かれるべきなのは誰であるかが分かりやすく解説されている。


 
 このビデオが機密・秘密にあたるのかどうかは、1977年の最高裁判決に照らし合わせると「該当しない」と見るのが妥当だろう。
     ↓

法曹界「秘密」の解釈…立件に賛否(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/report/20101110-OYT8T00358.htm
 「流出した映像は国家公務員法上の『秘密』には当たらず、刑事罰には疑問がある」。堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)はそう話す。

 最高裁は1977年、同法違反に問われた税務署職員の裁判で、漏らした情報が
   (1)一般人が知らない
   (2)秘密として保護するべき
 ――の二つの条件を満たす場合にのみ、守秘義務の対象になるという判例を示した。行政機関が形式的に秘密扱いにしていただけでは、漏らしても犯罪には当たらないことになる。

 
 このビデオは船長釈放までは海保内で『研修ビデオ』(今後の職務遂行のために職員が見ておく必要のあるビデオ)として広く公開されており、その時点では機密扱いではなかった。
 それが船長釈放と共に民主党から「機密扱いにせよ」という指示が出た訳だから、海保職員を罪に問うならば民主党はこれを機密とした理由を説明する必要がある。
 番組にもあった通り、かつて北朝鮮の不審船と銃撃戦を行った際のビデオは海保から公開されている。海保が違法行為を行う船に対して職務を遂行したビデオを公開するのがいけないのなら、銃撃戦の方が遥かにレベルは高い。
 
 「あれ?これって船長らが起訴されるでもなくアッサリ返されるくらいの些細な事件の記録でしょ?そんなものがまさか機密に?」と皮肉った意見も見かけた。
 
 次は民主党の説明責任を問う番だ。
 「中国に媚びて船長釈放を行ったのを正当化するために、都合の悪い証拠ビデオは隠蔽したかった」というのが機密にした理由でないということをしっかり説明して欲しい。特に、中国に対して異様なまでに気を使う官房長官には。

■仙谷氏、会見で中国に敬語を乱発 自覚なき「利敵表現」(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101108/stt1011080911002-n1.htm
 船長以外の船員と漁船を中国に戻す際の9月13日にも「14人と船がお帰りになれば、違った状況が開けてくるのではないか」と表現、中国の姿勢軟化を予想し結局、はずしている。さらに9月28日には、東シナ海・白樺ガス田付近を航行中の中国海洋調査船について「周辺にいらっしゃることは確認している」と述べた。

 もはやギャグの域。
 
 官房長官の発言は、最近とみに酷くなる一方。もうこの政権も末期なのか。
    ↓

尖閣映像流出:菅政権は厳しい局面に 統制力へ疑念深まる(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101111k0000m010100000c.html
 いらだちを深めた仙谷氏が予算委で報道機関に怒りをぶつける一幕も。記者会見で「海保職員に寛大な処罰を求める声も多い」と指摘されると「多いとはどのくらいか。しかるべき処置をしてもらいたい、という健全な国民が圧倒的多数だと私は信じている」と色をなして反論

 
 健全な国民は「しかるべき処置」よりも、民主党に納得のゆく説明をして欲しいと思ってますよ。