大学時代の後輩が他界

 大学時代同じサークルだった後輩が他界した。
 肺ガンだった。まだ三十代半ばだというのに。
 今年の4月、咳き込んだ際に血が混じっていたので検査を受けたところ肺ガンだと診断され、それから闘病生活を送っていたのだがわずか4ヶ月で亡くなってしまった。
 
 サークルの仲間たちは棺に納められた彼と対面してもなお「まだ信じられない」と言っていた。それはわしも同じ。
 どうして彼がいまガンで死ななければならないのか、そんなことなかなか理解できるものではない。なぜ彼が棺の中にいるのか、なぜ彼の写真が祭壇に飾られているのか、皆それが分からない。
 
 そんな中、2歳になったばかりの彼の娘は終始キョトンとしている。彼女はまったく別の意味で現状が理解できない。
 パパが寝ているとしか思っていないのがいたたまれない。
 
 仮通夜には、彼と面識があったのでうちの妻子も連れて行った。
 うちの長男は彼の娘と1ヶ月違いなので、生まれる前後から彼とはしばし子供の話をした。男女の違いはあれど、まぁだいたい似たような成長をしてるはずである。
 長男がビスコと子供用のジュースをもらうと、彼女も対抗して同じものを欲しがった。そしてゲットすると長男の前にチョコンと座り、対抗して同じように食べ始めた。
 なんとも微笑ましい風景である。これが通夜の席でなければよかったのだが。
 
 そんな娘と、奥さんと、そしてもうじき会えるはずだったまだ見ぬ我が子を残して亡くなった彼の無念はいかばかりか。
 どうか安らかに。