ネオダマはオープンレガシーに

 1990年代前半に業務システム関連で流行った、ちょっと恥ずかしい言葉で『ネオダマ』というのがある。
 簡単に説明すると、こうなる。

 『ネ』ネットワーク:コンピュータをLANで繋ごう!
 『オ』オープンシステム:色んなメーカーの製品を組み合わせよう!
 『ダ』ダウンサイジング:システムを小型化しよう!
 『マ』マルチメディア/マルチベンダ:
     文字だけでなく写真とか動画とか、色んな情報を扱おう!
     複数のコンピュータ業者から導入しよう!

 要はパソコンが廉価で高性能になり、本格的に仕事で使われ始めた頃のキャッチフレーズである。(*1)
 
 つまりそれまでのコンピュータシステムはこの『ネオダマ』の逆で、非常に専門的かつ閉鎖的なものだったと言える。
 『ネオダマ』は(その言葉を使う使わないに関わらず)大きな流れとなり、それ以前のシステムは『レガシー』(遺産, 遺物)とさえ呼ばれるようになった。
 
 その熱狂から20年近く経った現在、日経コンピュータでこんな特集を目にした。
   ↓

■オープンレガシーを救え
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100701/349733/
 保守することもままならず塩漬けにされたオープンシステム---「オープンレガシー」が情報システム部門を苦しめている。「早く安く作れる」「新しい技術が使える」「1社のベンダーに縛られない」といったオープンシステムのメリットが裏返しの格好となり、「作りすぎて保守できない」「選んだ製品が廃れた」「組み合わせの制約で更改しにくい」といった理由で塩漬け状態になっているのだ。オープンレガシーをいち早く救い出し、過ちを繰り返さないためにどんな指針を持てばいいのか。先行事例から探る。

 
 もちろん当時から、負の側面についても認識はされていたはずである。
 それでも「早い安い旨い」の部分にだけ勢いで飛びつき負の面については先送りにしてきたところは、そのツケがそろそろのっぴきならないところまで来ているようだ。
 
 90年代に『最新の技術とハードウェア』を使って作られたシステムが今やすっかり時代遅れとなり、何か手を打とうにも
  「最新の技術を提供していた会社は既になく」
  「ハードウェアが壊れた場合の代替品もなく」
  「そもそも何がどうなって動いているのか誰も把握できていない」
 などという負の合わせ技に苦しんでいることろもあるだろう。
 
 しかし、その功罪について十分な蓄積ができてきたのであれば、それは重要な資産だ。
 それを糧にして次の手を考えるしかない。
 
 
(*1)文書作成や表計算など事務用途にはパソコンが劇的に普及しはじめていたが、業務システム構築の基幹にはUNIXが使われることが多かった。